シティバンクグループの17日発表した2009年第1・四半期決算は赤字が大幅に縮小し、優先株の影響を除いたベースでは黒字に転換したとニュースで取り上げています。これは米財務会計基準審議会(FASB)が時価会計ルールを緩和する案を可決し、企業は住宅ローン担保証券(MBS)などの資産評価について「かなりの」裁量権が認められたための結果です。
時価会計ルール緩和とは。要するに保有する資産を「現在価値」で算定する時価会計の適用基準を緩和することで、その期の不良債権の計上を少なくするということですね。
アナリストらによれば、銀行は評価損を縮小でき、第1四半期の純利益を2割余り押し上げられる可能性があると言っています。
時価会計は、アメリカが、日本の金融機関を、痛めつけるつもりで導入を迫り、それを1990年ごろに、無理やり法律として成立させたものです。りそな銀行が破たんし公的資金を2兆円投入する羽目になったのもこの決算の原因もあったと言われてたような気がします(結局その後、外資に買われてしまいましたが、これがインサイダーだったという疑惑を以前にここでも少しだけ触れました)。それを今度は自分たちの都合で緩和し、アメリカ金融機関の決算の粉飾に利用しようと言う作戦です。アメリカは自己中です。
でも、現実は不良債権自体は存在しますし、失業率も米国は悪化してます。
例えば アメリカの住宅部門ですが、大変なことになっています。
景気の悪化で解雇が進み、住宅ローンが払えなくなり、差し押さえが急増しています。もともとサブプライムローンの問題は、上昇する不動産価格を前提とする金融商品で、今後これ以上の不動産価格の下落は、アメリカの金融機関にまだまだ大打撃を与えるでしょう。
これから、新築分が600万戸 ここに差し押さえ分が今後400万戸 合計1000万戸が市場に登場してくるとされていて、不動産価格の下落に伴う金融機関の不良債権はまだまだこれからが正念場と言えます。
時価会計で解決されるのは、問題の本質ではなく瑣末です。本当の問題は、証券化商品を、査定し、切り離して、金融機関自体の信用を維持するのが得策ではないかと、考えます。
たとえばGMですが、「プリパッケージ方式」という政策を極秘裏で進めています。GMが所有する優良資産だけを全て持ち出して「ニューGM」を設立すると言うものです。当然 労働組合等の抵抗は半端ではないでしょうし、経営者の責任も問われることになるでしょう。
これが実行できるかどうかはまだわかりませんが・・。
ただ 市場というのは、決算のそんな事情を踏まえていても、メンタルな部分で活気が戻るものですから、今回の時価会計のルールの緩和も、アメリカはずるいなんて言わずに、株価の急落を回避し、実体経済が回復するまでの時間を稼ぐメリットもありますし、必要な措置と言えるかもしれません。
シティのノー天気なニュースを見て、一言書き下ろしたくなってしまったのですが、収集がつかなくなったのでいきなり終わりにします。キャストの宣伝にも結び付かない秘密部屋で、ちょっと疲れました。ごめんなさい。
おすすめの1冊
「ルポ 貧困大国アメリカ」 著者 堤未果