◎アメリカがロシアを滅ぼす方法
さて、前回は覇権国アメリカが、世界中から攻撃されている様子を見てきました。
「一極支配打倒」を目指す動きは、まずフランス・ドイツを中心とするEUからはじまりました。
フランスのコマにされたフセインは、アメリカに殺された。
しかし、ユコス問題で米英とロシアの争いが激化すると、倒幕運動の中心はロシアに移っていきます。ユコス問題は「独裁者プーチンが民間企業をいじめた」というレベルの話ではありません。
アメリカ・イギリス・ロックフェラー・ロスチャイルド 対 プーチン・KGB軍団の争いだったのです。
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<ユーコスと米メジャーのシェブロンテキサコ、エクソンモービルとの間で、ユーコス単独ないし合併会社「ユーコスシブネフチ」への出資交渉が進んでいることも明らかになった。出資比率は25%+1株とも40%とも報じられた。米メジャーが法的に拒否権を持つ形でユーコスに入ってくると、事実上、米国務省と国防総省がユーコスの後ろ盾につくことを意味する。>「株式会社ロシア」41p
<身の安全を守るために米英に庇護者を求めたホドルコフスキーは、首尾よくヤコブ・ロスチャイルド卿の知己を得、世界の有力者が集う社交界への扉を開けた。ホドルコフスキーは01年12月、ロスチャイルド卿と共同で慈善団体「オープン・ロシア財団」をロンドンに設立、翌年には米国にも事務所を開いた。理事にはロスチャイルドほか、元米国務長官のヘンリー・キッシンジャーや元駐ソ大使のアーサーハートマンが名を連ねた。>(同上39p)
で、プーチンは以後、「ドル体制攻撃」を主導することになるのですが。
アメリカの強さは「ドル基軸通貨体制」であり、これさえ崩せば「国家破産」せざるをえない。
なぜアメリカがロシアバッシングをつづけるのか、おわかりでしょう。アメリカは、「ロシアは独裁だ独裁だ!」と非難しますが、ロシアの下院には4つの政党があります。
一方、中国は共産党の一党独裁。
でも、アメリカは中国ではなく、ロシアを叩きつづけている。
これには、それなりの理由があるのです。
では、ロシアにアキレス腱はないのでしょうか?
これはあります。
ロシアの強さは、「石油・ガス」。
産油量は、サウジアラビアについで世界2位。天然ガス生産量は、ダントツ1位。
原油の埋蔵量は、世界の14%を占める。天然ガス埋蔵量は、世界の27%を占め、ダントツ世界一。
そして、ロシアの国内総生産の40%、輸出の60%は石油・ガスが占めています。
つまり、ロシア経済は、「原油価格と完全に正比例している」。(ガス価格は原油価格にリンクしている。)
2度のオイルショックで原油が高騰していた70年代、ロシア(ソ連)は世界最強国家だといわれていました。
アメリカは、ニクソンショック・オイルショック・ベトナム戦争での敗北・ウォーターゲート事件等々でボロボロだった。
80年代、レーガンはサウジアラビアを脅迫し、増産を強要。
原油価格は下落し、ソ連経済はボロボロになっていきます。
原油は90年代も低迷していました。
ロシアで金融危機が起こった98年は、なんと10ドルを割り込んでいたのです。
90年代ロシア経済がボロボロだったのは、皆さまもご存じのとおり。
新世紀に入ると、アフガン戦争・イラク戦争・中印の需要急増などが原因で、原油価格は上昇をつづけます。
08年7月には、なんと10年前の15倍近い147ドルまで高騰。
ロシア経済はここ8年間急成長をつづけてきた。
理由は、「原油価格が上がりつづけてきた」からなのです。
ロシアの強さは「原油・ガス」である。逆に「ロシアの弱さも原油・ガスである」といえる。
ロシアを滅ぼしたければ、「原油価格を長期にわたり安く抑えておけばいい」となります。
そればかりではありません。
現在、「反米3兄弟」といえば、ロシア・イラン・ベネズエラでしょう。
これらの国々には、「石油大国」であるという共通点があります。
原油価格が高いと経済力をつけ、増長しアメリカに戦いを挑んでくる。
原油価格を下げれば、反米3兄弟の経済は苦しくなり、弱体化する
のです。